気管切開患者の理学療法のコツ
こんにちは。理学療法士のみっちです。
今回は気管切開術後の患者さんの理学療法のコツを書きたいと思います。
1.気管切開とは
主に人工呼吸器管理が長期化した場合(だいたい7日~14日以上)、または上気道確保のため(声帯や喉頭浮腫による窒息予防)に行われる侵襲的処置です。急性期病院では人工呼吸器管理が長期化した場合に選択されることが多く、比較的遭遇しやすいと考えます。理学療法を行うにあたり注意すべきポイントがいくつかあります。
2.気管切開患者のリスク管理
2.1 気管切開に至った病態の理解
まずは気切に至った病態とその背景を理解しておきましょう。気道確保目的の気切なのか、人工呼吸器管理が長期化したための気切なのか、抜管したけど喉頭浮腫等が生じたために行った気切なのか、その要因によって注意すべき点が変わってくるからです。
人工呼吸器管理が長期化して気切に至ったのであれば、やはり酸素化、換気能、呼吸筋機能、全身状態が悪い可能性を考慮する必要があります。抜管後に喉頭浮腫から気切に至った場合は、いずれ人工呼吸器は離脱できそうだけど、嚥下や気切孔を閉鎖するまでは時間がかかりそうだな、とか少し予想ができるわけです。治療の内容にもよりますが、このような気切に至った病態は知っておくことが大切だと思います。
2.2 酸素化の評価
一般的な酸素化の指標としてはパルスオキシメーターによるSpO2の評価や血液ガスのPaO2があげられます。血ガスは状況によっては取れにくい場合もあり、理学療法中はSpO2で評価する事がほとんどでしょう。基本的には90%以上を目安にしますが、病態によって異なる事もあるため注意が必要です。医師の指示を確認しておきましょう。
血ガスが取れるのであればP/F比を確認しておきましょう。これはPaO2/FiO2で表す比であり、酸素濃度が変化しても酸素化能の判断がしやすい大切な指標になりますので、覚えておいて損はないと思います。
2.3 換気能の評価
換気能の評価として代表的な項目は、呼吸数、1回換気量、分時換気量、血ガスのPaCO2があります。呼吸数はあまり数えてないかもしれませんが、極めて重要な指標です。呼吸数が安静時で25回を超えるような頻呼吸を呈している場合は注意が必要です。1回換気量、分時換気量が多いほどPaCO2は低下する事が多いですが、1回換気量が少ないと、有効換気量が少なくなり、思ったほどPaCO2が低下しない場合もあります。PaCO2は換気の指標としてよく見られますが、呼吸不全の方は元々高い方もいるため、このあたりはPHをみて判断する必要があります。
2.4 喀痰排泄能力の評価
基本的には気切を要するような患者さんは喀痰排泄能力は低下していると思っていいと思います。特に咳嗽の力や咳反射など、自力で痰を出せるかどうかが大事になってきます。また、口腔内が乾燥していたり、痰その物が粘度が高いとしっかり咳嗽できたとしても痰が出ない可能性があるため、そういった意味でも加湿は重要になります。
2.5 気切カニューレ以外の附属物の確認
気切に至る患者さんは急性期病院であればICUやHCUにいる事が多いと思います。その場合、他にもAライン、CVルート、末梢ルート、人工呼吸器、CHDFなどいろんなものが引っ付いている事が多いです。理学療法で離床をしていく場合はこれらのルートの管理も重要になりますので、「どこ」に「なに」がついているのかをよく確認しましょう。ルートが左右にある場合はルートを整理しないと端坐位や立位に慣れない場合もあります。もちろん、1人で全部するのま無理なので、看護師や医師と協働してやりましょう。
2.6 加湿の確認
見落とされがちかもしれませんが、加湿は大切です。通常であれば人工鼻を装着して加湿はOKってなっている場合が多いかと思いますが、中には痰が粘調だったり固かったりして、中々痰が吸引できない、場合によってはカニューレの内筒にこびりついて最悪窒息、なんてリスクも十分あり得ます。痰が貯留する、閉塞する事は理学療法を行う上でも患者さんの呼吸苦や酸素化低下を招く事があるため適切に対処しておきたい所です。
痰がうまく出ない、吸引できない場合はインスピロンによる加湿や去痰剤の注入(内服)なども主治医や看護師と相談した方が良いでしょう。
3.理学療法前の準備
3.1 口腔内、カフ上、気管内吸引の施行
まず、理学療法(今回は主に端坐位、車椅子移乗などを想定)をする前に、口腔内、カフ上、気管内吸引をしてもらいましょう。座ったり立ったりするとそれだけでも換気量が増えて痰が出やすくなるため、あらかじめしっかり吸引してもらっておくことで、患者さんも苦しくなく、咳も少なく離床ができるようになります。
3.2 カフ圧の確認
ここは見落とされがちかもしれません。離床させる前にはカフ圧は確認してもらいましょう。カフ圧が低下していると、カフ上や口腔内にたまった痰や唾液が気管内に垂れ込んで、その刺激で咳嗽が頻発します。寝ているときはカフと気管にスキマが無くても、起こすときに頸部を動かしたり、姿勢が変わるとその際にスキマができてしまう可能性があります。起こした後から咳が頻発する場合は是非、カフ圧を起こす前に確認してもらって下さい。概ね25-30程度の圧で調整したらよいでしょう。
3.3 ルート類の整理
起こすときは点滴や他のルートやデバイスが引っ張られたり、干渉しないように整理しましょう。1人でさばくのが無理な場合は看護師に協力してもらいましょう。
3.4 酸素流量の確認
理学療法前に現在投与されている酸素流量を確認しておきましょう。また、医師の指示を確認しておき、目標のSpO2はいくつか、何リットルまで酸素を上げ下げして良いかを知っておきましょう。一般的に起こすと酸素化が良くなることが多い印象ですが、低下した場合にどのように対処したらいいかをしっかりわかっておきましょう。
3.5 看護師との連携
端坐位、立位にすると先ほど述べたように痰が出やすくなります。場合によっては吸引が必要なる事もあるでしょう。その際に、患者を支えながら吸引する事は困難です。そのような状況が予想される場合はあらかじめ看護師に相談しておき、理学療法時に同席してもらう事も必要かもしれません。
3.6 フィジカルアセスメント
忘れていけないのは患者さんのフィジカルアセスメントをする事です。問診(気切だとしゃべれないかもしれませんが)、視診、触診、聴診、打診の5診を駆使して、患者さんの状態把握に努めましょう。特に表情や呼吸パターン、血圧、皮膚の温かさや色調は見逃さずに評価しましょう。
4.理学療法中
4.1 バイタルサインのチェック
呼吸数、血圧、心拍数、SpO2は理学療法実施中はモニターしておくことが望ましいと思います。気切をしないといけないような全身状態の人を動かしていくという事を肝に命じて、変化を見逃さないようにしましょう。
4.2 フィジカルアセスメント
モニタリングできる項目以外にも、表情や皮膚の状態、呼吸パターン、呼吸補助筋の活動など理学療法施行前と変化が無いか、またはいい反応が出ているかを確認しましょう。
4.3 看護師との連携
必要があれば吸引を依頼したり、バイタル測定をしてもらったり、状況に応じて連携しましょう。1人でなんでもしようとすると患者さんを危険にさらす場合があるため、要注意です。
4.4 理学療法実施
実施予定だった理学療法を行います。端坐位の練習や立ち上がり動作の練習、車椅子へ移乗する練習など、予定された理学療法を行います。患者さんの状況や理学療法中の反応、バイタルサインなどを評価して、どの程度の事をどのくらい行うかを判断しましょう。個人的には理学療法の「開始基準」「中止基準」をしっかり頭に入れておくことが重要だと思っています。
5.理学療法実施後
5.1 バイタルサインのチェック
実施後に変化が無いかを確認しておきましょう。やりっぱなしはいけません。理学療法後に状態が変化する場合もありますので。
5.2 各種吸引施行(必要があれば)
動いた後は痰が出やすくなっていたり、たまっている事がありますので、必要があれば看護師に吸引を依頼しましょう(当院は理学療法士は吸引の許可がでてないので)
5.3 看護師への連絡
理学療法でどこまで実施したか、介助量がどうだったか、バイタルサインがどうだったかなど、報告をしておきましょう。日頃の細かいコミュニケーションが看護師との信頼関係を作るコツだと思います。
6.おわりに
今回は気管切開患者の理学療法のコツを簡単にまとめてみました。少しでも患者さんのために参考になれば嬉しいです。
ZOOMウェビナーでの研修会運営について
こんにちは。理学療法士のみっちです。
今回は現在各方面で行われているZOOMウェビナーを利用した研修会運営について書きたいと思います。
1.ZOOMウェビナーとは
ZOOMウェビナーとは、ZOOMが提供しているウェブ研修ツールです。ZOOMのproアカウント以上でオプションとしてウェビナーを付ける事ができます。
ZOOMミーティングとの違いで最も顕著な違いは、「参加者同士の顔が見えない事」「講師側から視聴者の顔が見えない事」じゃないでしょうか。その他、研修会に必要な機能がミーティングとは違い、充実している点です。
WEBで研修を行う時に皆様も自分の顔や部屋が他の人に見られていないか、講師から見えていないか、が気になって中々参加を躊躇している方もいるのではないでしょうか。ZOOMウェビナーはそういった心配は基本的に無いと言っていいでしょう。
2.ZOOMウェビナーの機能
ZOOMウェビナーの機能としては、画面共有機能、チャット機能はもちろんのこと、Q&A機能、実践セッション(研修本番前のリハーサルモード的なやつ)、後から研修の記録をだせるレポート機能があります。他にも研修登録者を承認制にできたり、返信メールをカスタマイズしたり、イラストや会社等のロゴを貼ってブランディングする事も可能です。
特によく使うのは、実践セッションとレポート機能です。実践セッションは研修会前のリハーサル的な機能で、司会と講師の打ち合わせや、画面共有の確認などに利用できます。一通り確認や打ち合わせが終わったら「ブロードキャスト」して、実際に参加者を研修に参加させることができます。
レポート機能は研修会参加者のリストや入退室の記録、Q&Aでのやり取りなどを研修会終了後にCSVファイルで取り出す事が可能です。WEB研修の記録作成等に利用できるので、大変便利です。
3.ZOOMウェビナーの設定
設定についてはミーティングとそこまで変わらないですがミーティングと違い「待機室」がないので、実践セッションは有効にしておいた方がいいと思います。また、参加者を手動承認か自動承認かを選べますので、先着順であれば自動承認、後ほど抽選や選定をするのであれば手動承認にしておいて、こちらで参加者を選ぶことも可能です。あとは、日時や時間などを入れるだけで結構簡単です。
4.ZOOMウェビナーでの研修会運営
4.1開催案内
まずはZOOMウェビナーを使用した研修会を行う事を告知しないといけません。SNSやHPなどで研修会の告知を打ちます。研修会の1か月前までにはやっておかないといけません。開催案内にはテーマ、日時、申し込み方法、費用、決済方法などの記載が必要です。
4.2当日までの準備
当日までに講師との打ち合わせ(講師への依頼は研修を行う半年前には済ませておくとよいでしょう)を行います。可能ならZOOMウェビナーを使ったリハーサルを済ませておくといいと思います。講師もZOOMウェビナーに慣れていないかもしれませんし、当日のトラブルをなるべく予防するためにもオススメします。これと同じ意味合いで、参加予定者向けのZOOMウェビナーの利用のリハーサルを検討してもいいかもしれません。研修当日になって「入室できない」「音が出ない」「スライドが見えない」など技術的なトラブルが生じると、対応が大変になります。
4.3当日の運営
当日は受付時間より早めにZOOMウェビナーを立ち上げておきます。実践セッションを有効にしている場合は講師や共同で運営するスタッフをミーティングをしておきます。この際に注意が必要なのは、ブロードキャストした後は視聴者から運営側が丸見えである事です。おかしな私語や映像が筒抜けにならないように、カメラやマイクがOFFになっているかを確認した方が良いでしょう。研修会が開始されるまでは画面共有機能を使って、研修会のタイトルと開始までしばらくお待ちください的なスライドを共有しておいたり、受講の注意点や宣伝をスライドで流しておくと、参加者も安心すると思います。
実際に研修が開始されたら、講師の講義を見守りつつ、チャットやQ&Aに来た問い合わせなどの対応を行います。
4.4後日する事
講師へのお礼や謝金の支払い、税金の支払い、参加者にアンケ―トを取っていればその集計や分析などを行います。参加者にお礼と次の研修会が予定されていれば、その連絡も合わせてしてもいいかもしれません。
5.まとめ
コロナの影響でWEBでの研修が多数行われるようになりました。今後もしばらくはこの状況が続く事が予想されます。参加する側、主催する側どちらになってもいいように準備しておきましょう!
育児中の理学療法士が悩む自己研鑽の時間確保
みなさんこんにちは。理学療法士のみっちです。
今回は理学療法士の自己研鑽について書きたいと思い明日。
私は現在妻と3人の子供がいます。独身時代と比べると明らかに自分のために使える時間が減りました。そんな中でも、日々医療は進歩していますので、できるだけ新しい知識を入れていかないといけません。でも時間は限られている。自分なりに実践している事を紹介したいと思います。
- 1.時間は誰にでも平等?
- 2.私の1日のタイムスケジュール
- 3.平日朝の時間の使い方
- 4.平日夜の時間の使い方
- 5.休日の時間の使い方
- 6.スキマ時間の活用法
- 7.まとまった時間の活用法
- 8.臨床と勉強を結び付けよう
- 9.家族の理解も必要
- 10.終わりに
1.時間は誰にでも平等?
時間は誰にでも平等に流れています。私であろうが、あなたであろうが、1秒は1秒です。そういった意味では時間は平等です。でも、自分のために使える時間の量は人それぞれです。仕事が立て込んで自分の時間がほとんど取れない方、育児や家事に忙しく自分の時間が取れない方など、置かれている立場によって違いますよね。だからこそ、与えられた時間を有効に使えるように普段から意識する必要があります。
2.私の1日のタイムスケジュール
6:15 起床、身支度、子供の支度の手伝い、庭の水やりetc
7:30 保育園送り
8:00 職場到着
8:15 カンファレンス
8:30 始業時間、診療開始
17:15 終業
18:30~19:00 退社
19:30 帰宅、風呂、食事
21:00 子供たちと就寝
22:00~自分の時間
だいたいこんな感じです。よくある流れだと思います。基本的に帰宅したら子供たちが寝るまでは家の事を手伝います。子供たちが寝たら自分の時間ですが、疲れていたら寝落ちして、朝なんてこともちらほら。
3.平日朝の時間の使い方
よく朝活的な事はよく聞きますよね。仕事ができる人は朝が早い的なアレです。それができれば苦労しませんが、私は無理です(笑)。なので、平日の朝はとにかくバタバタ過ぎてしまい、勉強どことではありません。できたとしてもメールの返信くらいです。まとまった時間はとれないです。これが現実です。
4.平日夜の時間の使い方
子供たちが寝た22時以降くらいからが私のメインの自己研鑽時間になります。資料を作成したり、文献や本を読んだり、手掛けているプロジェクトを俯瞰したり、いろいろです。あまり遅くなると次の日がきついので、遅くなっても1時には寝たい。なので、優先順位をつけて集中して処理した、勉強していきます。
最近はリハノメPTというリハビリ職向けの動画を視聴して、勉強する事が多いです。その時は再生速度を1.5~2.0倍にして、時短で視聴しています。案外なれたら聞き取れますよ。
とにかく時間が限られているので、優先順位をつける事が大事になります。
5.休日の時間の使い方
休日はまとまった時間がとれるチャンス!ですが、日中は黙って家庭サービスです。ここを取り違えると家庭が崩壊します。マジで。なので、私の場合は自分の用事(学会、研修会など)なければ基本的に子供と遊んだり、妻の買い物に付き合ったり、庭の草むしりや掃除をしたります。でもここでも頑張りが後々効いてきます。
休日であれば朝(家族が起きる前)と夜(家族が寝た後)は自分の時間として使えるので、勉強や作業ができます。
時々妻が子供たちを連れて遊びに行ったり、妻の友達が我が家に遊びに来る事があります。これは最大のチャンスです(笑)。あらかじめ妻の予定が分かっていれば、その空いた時間を自己研鑽にあてましょう。
6.スキマ時間の活用法
さて、スキマ時間を自己研鑽でどのように利用するかですが、私の場合は大抵、「メールの返信」「読書」「文献を読む」「医学書をポイントを絞って読む」「文献検索」くらいだと思います。
どちらかというとインプットに使う時間でしょうか。短い時間で終わったり、すぐ始められる事をやる方が効率はいいですよね。「読書」「文献を読む」などはペーパーがあればすぐに目を通せます。PCを立ち上げるのが面倒であれば紙で見れた方が早いです。
7.まとまった時間の活用法
まとまった時間(1時間以上)が確保できるのであれば、やはりアウトプットに使う事が多いです。資料作成、勉強した事のアウトプットなどが当たります。あとはよく考えないといけない事はまとまった時間に行います。自分はA4のノートを常に仕事用のリュックに入れていて、それに自分の考えをずっと書き溜めてきています。見直すのはスキマ時間でもできますが、新しい事を計画したり、設計していくときはそのノートに書いてまとめていきます。そんな時間にもまとまった時間が必要です。
8.臨床と勉強を結び付けよう
いろんな研修会や講習会、教材、本などありますが、理学療法士として勉強や自己研鑽を最も効率的にできるのは、自分の臨床とリンクさせることです。目の前の患者さんのために必要な事を勉強する、技術を身につける、それが一番モチベーションが維持しやすく、頭にも残りやすいです。臨床実習で勉強したり経験した事ってまだ頭に残ってますよね。自分たちが実習に出た頃は修行の用な日々だったので、今でもよく覚えています(笑)。きつかったけど、その分頭にちゃんと残っています。
あと、自分でわからない事はわかる人に聞いちゃうのもありです。職場の先輩や上司、友人に聞いちゃいましょう。その方が早くわかる場合がありますし、プラスアルファで違う情報が聞けるかもしれません。うまく利用しちゃいましょう。
臨床と勉強を結び付ける、言い換えると臨床で必要な事を勉強していこう。当たり前かもしれないけど。
9.家族の理解も必要
ある意味一番大事な事です。医療職である以上、ある程度は自己研鑽をしていく必要は私はあると思います。適切な技術や知識を身に着けて、患者さんにそれを提供していく責務があるからです。そのため、どうしても土日や祝日に研修に行く事があります。もちろん身銭を切っていくわけです。私みたいにお小遣いで生きている人間は、妻にお願いして研修費をもらいます。じゃないと昼ごはんが食べられなくなります(笑)。
だけど、職場の中で出世をしていく、多方面から仕事の依頼をもらう、そういった事もしっかり自己研鑽を積んで、学会発表や論文作成していけば可能になってきます。
そのためにも家族の理解は不可欠です。休日に1日いないという事はその分妻に負担がかかるわけです。だから、帰宅したり休日なにもない日は家族と過ごすのです。そうする事で、妻も「普段頑張ってくれてるから」と言ってくれるようになるんです。まぁ、我が家のケースなので、他の家庭は違うかもしれませんが。
10.終わりに
平日、休日と家族にしっかり尽くしましょう。自分の時間が取れそうなら、優先順位をつけて自己研鑽をしていこう。時間の流れ方は誰にでも平等だが、使える時間は誰でも同じではないのだから。
学会に参加してよかったこと5選
こんにちは。理学療法士のみっちです。
今回は学会に参加してよかった事をまとめてみようと思います。
理学療法士の方に限らず、いろんな学会に参加された事がある方もいると思います。一方でまだ参加した事のない方、これから参加しようと思っている方も参考にしていただければと思います。
その1.勉強になる
まずはやっはぱりこれでしょう。学会はその学会の現時点での最先端が知れる絶好の機会になります。業界のトレンドや最新のエビデンス、今後の方向性、今議論されている事などその場で知る事ができます。さらに自分が演者としてエントリーしているのであれば、そのスライドやポスターを作成する過程、または研究課程でかなり自分の成長につながっていると思います。
実際に学会に行くと、自分より若い方でも素晴らしい報告をしている方を見かけます。そんな方の発表を聞くと「自分も頑張らないといけないな」と思い、モチベーションアっプにつながります。
また、実際に演者の方とディスカッションする事で自分の学びが深まるという利点もあります。質問する事は緊張しますが、口述発表よりはポスター発表の方が演者に質問しやすいので、緊張しやすい方はポスター発表を聞きに行ってみてはどうでしょうか。
また、発表のスライドやポスターを見て、自分の参考にする事もできます。「このまとめ方はきれいだな」とか「スライドの流れがいいな」とか、そういった視点でも学ぶことができます。個人的にはやはり医師の発表は流れがスムーズで論理的にまとまっている印象があります。
その2.職場以外でのつながりができる
これも楽しみの一つですね。同じ研究テーマを持っている方や、自分の発表に興味を持ってくれた方、質問に来てくれた方など、職場以外の様々な方とつながる事ができます。自分も名刺を持って行って、質問した時とかに名刺交換して、後日メールで「学会ではお世話になりました」と挨拶メールを送る事があります。別の学会でまた会う可能性もありますので、知り合いにが増えると学会に参加する楽しみが増えます。
その3.著名な方に直接質問ができる
学会にはその道の有名な方が特別講演やシンポジストあるいは研究発表の演者として出席している事がほとんどです。教科書や書籍でしか見たことのない方を実際にみるチャンスです。また、旨く行けば質問したり、直接話ができる可能性だってあります。著書を読んで疑問に思っていたことを質問したり、単純にあこがれとして会ってみたいという気持でもいいと思いますが、せっかくの機会なのでコンタクトがとれそうならチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
その4.いろんな機器や用品を知れる
学会ではだいたい関連するメーカーが機器や用具を展示している事が多いです。デモ機も置いてあって実際に使ったり、自分で試してみたりすることができます。これから導入を考えている機器があれば、是非メーカーの方と直接話をしてみる事をおすすめします。だいたい頼んだら後日、デモ機を貸してくれたり、営業できたときに顔だしてくれて、いろんな情報をくれる事があります。興味のあるメーカーや機器が展示されていたら、名刺をもって会いにいってみましょう。
その5.ご当地の観光や食事が楽しめる
これも密かな楽しみの一つですよね。学会はいろんな地方や都市で行われます。普段いかないような県に行く事もあるので、せっかくだからご当地のグルメや観光も楽しめたらいいですよね。ただ、学会がメインなのでこちらがメインにならないように気を付けなければなりません。もちろん家族や職場へのお土産も忘れずに(笑)。
あと、同僚と一緒に参加していれば夜の学会(飲み会)もいいですよ。次の日に支障が出ない程度に、仲間と語り合う事は学会と同じレベルでかけがえのない時間になります。
まとめ
私個人の学会に参加してよかった事5選をまとめてみました。現在はコロナの影響で対面での学会は中々できませんが、また再開できたら皆様も是非学会に参加してみてください。いろんな発見がありますよ。
認定理学療法士取得までにしておいた方がいい事
皆さんこんにちは。理学療法士のみっちです。
今回は「認定理学療法士」を取得するまでにしておいた方がいい事を私なりにまとめようと思います。
- 1.取得する目的を明確にする
- 2.協会主催の勉強会に参加する
- 3.マイページから申請する領域のポイントがあるか確認する
- 4.協会指定研修を受講する
- 5.申請する領域の必須研修会を受講する
- 6.申請時期、要項を確認する
- 7.10例の症例レポートを記載する
- 8.試験勉強をする
- 9.私の失敗談
- 10.まとめ
1.取得する目的を明確にする
まずは、認定理学療法士を取得する目的を明確にしておきます。現時点で認定理学療法士を取得する事で診療報酬上の加点はありません。しかしながら、個人の診療レベルの質の証しとして取得しておくことで、周囲からの信頼感は高まります。また、今後生涯学習システムが変更される予定となっており、認定理学療法士の位置づけも変わってくるかもしれません。いずれにしても、理学療法士としてレベルアップしていく上で取得を目指す事はオススメだと思います。これから試験勉強やケースレポートを作成していく事になり、目的が明確でないと中々モチベーションも上がりにくいでしょう。
2.協会主催の勉強会に参加する
とにもかくにも申請する領域の生涯学習ポイントがたまらない事には申請ができません。私も20代の頃は毎月のように県士会や協会が主催する講習会に参加していましたが(今は家庭もあり中々難しいですが)。ポイント稼ぎ目的ではなく、自分が本当に学びたい内容の講習会に参加する中で自然にポイントがたまっていればいいですね。自分への自己投資と思って頑張りましょう。
3.マイページから申請する領域のポイントがあるか確認する
生涯学習ポイントがたまっているかどうかを確認しておく必要があります。これは日本理学療法士協会のマイページから確認が可能です。いざ申請しようと思っても実はポイントが足りなかったなんて残念な事にならないように、早めに確認しておいた方が無難です。ちなみに、マイページでは自動で申請領域のポイントを計算してくれるわけではないので、自分で頑張って計算しましょう。
4.協会指定研修を受講する
現行の制度であれば、協会が主催している指定研修を受講する必要があります。これは各都市で行われていたのですが、コロナの影響もあり対面での研修が自粛されているため、今後はWEBやe-learningで行われるかもしれません。以前受講されているかたは、5年間は有効だと思いますので、確認しましょう。
5.申請する領域の必須研修会を受講する
指定研修とは別に、申請する領域の必須研修会も受講する必要があります。これも各地区で開催されています。ただ、領域によって開催場所がまちまちで私はわざわざ香川県まで行った覚えがあります(地方在住にはつらい)。これもコロナの影響でWEB開催になっている場合があるので、協会ホームページでチェックしましょう。
6.申請時期、要項を確認する
これが一番の曲者で、わかりにくい所です。書類に不備があると受理してもらえない可能性があるので、要項をよく読んで申請しましょう。以外に煩雑なのは取得ポイントを記載する所です。ポイント計算を間違えて申請すると、受理してもらえないので注意しましょう。
7.10例の症例レポートを記載する
ほとんどの領域で10例の症例レポートを提出する事になっています。指定の用紙(Word)に記載していきます。あらかじめ、書けそうな10例にめぼしをつけておくと良いでしょう。ちなみに、こちらも体裁や字数をちゃんと守らないとその時点で×になる可能性があるので注意してください。
この症例レポートは特殊な症例ではなく、当たり前の症例を記載するのでかまわないと思います。ただ、評価のところに客観的な評価を記載する事、それに基づいた治療内容が記載されていないと、合格できないかもしれません。私は疾患の「左右」を書いていなかったり、「保存療法か手術療法か」を記載し忘れていて指摘を受けました。
8.試験勉強をする
申請が無事済んだら後はひたすら試験勉強です。私個人の感想としては、専門科目は頭に入りやすい(元々勉強している領域であったり、臨床ですでに分かっている事が多いため)ですが、曲者は共通科目の方です。自分が受けたときには電気抵抗の問題がありました(物療にからめた問題だった)。正直認定理学療法士に電気抵抗知っててなんか意味があるんかと思いましたが、やはり普段聞きなれない所は中々頭に入りません。
いずれににしても協会指定研修の内容から出題されるため、根気よく勉強していけば大丈夫だと思います。5択ですしね。
9.私の失敗談
私が失敗したのは、症例レポート10例が再提出になった時に、再提出の要項をちゃんと読んでおらず、郵送する書類が足りなかったことです。その事で不合格になりかけました(認定理学療法士たる者が書面をちゃんと読めていない時点で失格的な事を言われました)。なので、皆さん申請の要項はややこしいので確実に2-3回は繰り返し読んで、申請する書類に不足が無いかチェックするようにしてください。私もそれから提出書類に関する内容は繰り返し確認するようにしています。
10.まとめ
認定理学療法士取得までのしておいた方がいい事を私なりにまとめました。詳しくは日本理学療法士協会のホームページを確認してください。生涯学習システムが変わるため、現行での申請は来年度が最後になると思われます(今年度分はコロナの影響で申請は中止になっています)。いろいろ状況が変わる可能性もあるので、定期的に協会ホームページで情報を確認していきましょう。
理学療法におけるリスク管理(総論)
皆さんこんにちは。理学療法士のみっちです。
- 1.はじめに
- 2.リスク管理ができている、とは?
- 4.ICU で早期離床や早期からの積極的な運動を原則行うべきでないと思われる場合(禁忌):集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~より
- 5.理学療法の開始基準:集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~より
- 6.早期離床・積極的運動を控えるための基準:集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~より
- 7.離床はだめでもできる事はある
- 8.迷ったらどうする?
- 9.おわりに
1.はじめに
急性期病院に限らず、回復期や生活期、在宅でもそうですが、根本として我々理学療法士が関わる方は基本的に「何らかの疾病を持っている」事がほとんどです。特に急性期病院では一歩間違えれば命を落とすかもしれない方も理学療法の対象になるわけです。つまり、スタートラインとして我々は「全身状態が悪い人を運動させる」というリスクをすでに背負っているわけです。まずその事を自覚する必要があります。
2.リスク管理ができている、とは?
理学療法を行うにあたり様々な学会、団体から理学療法の開始基準、中止基準が出されています。それらを理解しておくことは当然なのですが、それを知っているだけではリスク管理ができているとは言えないと思います。
具体的には、
①患者の状況・状態が把握できている
②疾病の病態を理解できている
③運動によって起こりうる反応が予測できている
④患者の状態が変化したときに対応する準備ができている
上記の事は押さえておかないと、リスク管理ができているとは言えないと考えます。
実際にアクシデントが起こった時に自分がどう対処するのか、できるのか、そのあたりまで考えておくことが必要です。理学療法中に急変する事だってあり得ますので。
3.リスクの高い患者さんの理学療法をどのように考えるか
特にICUなどで理学療法を行う際に大事な考え方として、理学療法を行う事で得られる「利益」と生じる「リスク」をどう捉えていくかという事があります。高いリスクを冒して得られる利益が少ない「ハイリスク・ローリターン」であれば、場合によっては理学療法をしない、という事も選択肢に入ります。
あと結構大事なのは、自分の実力や経験もそうですが、周りの環境です。特にICUでは看護師が理学療法をサポートしてくれることがありますが、特に人工呼吸器管理で経口挿管中であったり、CHDFなどのデバイスが入っている場合は、サポートしてくれる看護師との連携や信頼関係も重要になってきます。
4.ICU で早期離床や早期からの積極的な運動を原則行うべきでないと思われる場合(禁忌):集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~より
1)担当医の許可がない場合
2)過度に興奮して必要な安静や従命行為が得られない場合(RASS ≧ 2)
3)運動に協力の得られない重篤な覚醒障害(RASS ≦−3)
4)不安定な循環動態で,IABP などの補助循環を必要とする場合
5)強心昇圧薬を大量に投与しても,血圧が低すぎる場合
6)体位を変えただけで血圧が大きく変動する場合
7)切迫破裂の危険性がある未治療の動脈瘤がある場合
8)コントロール不良の疼痛がある場合
9)コントロール不良の頭蓋内圧亢進(≧ 20 mmHg)がある場合
10)頭部損傷や頸部損傷の不安定期
11)固定の悪い骨折がある場合
12)活動性出血がある場合
13) カテーテルや点滴ラインの固定が不十分な場合や十分な長さが確保できない場合で,早期離床や早期からの積極的な運動により事故抜去が生じる可能性が高い場合
14)離床に際し,安全性を確保するためのスタッフが揃わないとき
15)本人または家族の同意が得られない場合
以上が集中治療学会が定める早期離床の禁忌になります。どれを見ても離床はできそうにないですよね。
5.理学療法の開始基準:集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~より
元々の血圧を加味すること。各数字に関しては経験論的なところもあるのでさらに議論が必要である。
6.早期離床・積極的運動を控えるための基準:集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~より
介入の完全中止あるいは、いったん中止して経過を観察、再開するかは患者状態から検討、判断する。
7.離床はだめでもできる事はある
上記の基準は早期離床、つまり端坐位や起立練習などベッドから離れていくような運動をする際に適応になります。患者さんの状態によりけりですが、ベッド上での拘縮予防目的の関節可動域運動や筋力維持目的でも自動運動、自動介助運動、呼吸管理としても体位変換、体位ドレナージは許可される場合がありますので、個別に主治医への確認が必要になります。
8.迷ったらどうする?
理学療法をする上でリスクをとって理学療法を行うか、やめるか迷う事もあると思います。中止基準や禁忌に該当しなくても、何だか嫌な予感がする事もありますよね。その時は思い切って直感を信じてもいいかもしれません。
皆さんは「ファースト・チェス理論」というものをご存知でしょうか。プロのチェスプレイヤーにチェスの盤面をみせて、5秒で「次の手」をきめてもらう。その後30分かけてじっくり考えてもらい、30分後に改めて「次の手」をきめてもらう。その結果、「最初の手」と「30分考えた手」は、86%一致していた、という研究。つまり、最初の判断というのは、かなり正しい。ただし、経験と知識が十分であれば、という前提である。直感は経験で磨いていくものですが、磨き上げるには日々の臨床を振り返り、常にクリニカルリーズニングしていく事が大切です。
9.おわりに
理学療法におけるリスク管理についてお話しました。各論的な細かい事はまだまだありますが、大まかにはこのような所を押さえておけばいいのではないでしょうか。自分自身が患者さんの「リスク」にならないようにしていきましょう!
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理学療法とロジカルシンキング
はじめに
理学療法では患者さんに対して、筋力や関節可動域測定、姿勢や歩行の観察を行い、さらにはレントゲンやCT画像、血液検査データなどを見て、患者さんの目標「GOAL」を達成するために、どのような理学療法アプローチが必要なのかを考えていきます。
要するに、患者さんのあるべき姿(目標)があり、その目標を達成するための問題点を洗い出すために現状把握(検査測定)を行い、その原因を明らかにして、問題解決の方法(理学療法アプローチ)を考えて、実行する事になります。そして、その内容が適切であったか、再評価してまた問題点をとらえ直す事を行います。
これは、一般的に臨床で行われている事ではないでしょうか。
あるべき姿とは?
そこでまず、大切な事が1つあります。それは患者さんと理学療法士(治療者側)が目標とする所(あるべき姿)がきちんと共有されている事です。理学療法士が勝手な憶測で決めるのでは無く、しっかり患者さんと話して目標を定める事が重要です。
患者さんのあるべき姿って何でしょうか?元の体に戻りたい、杖で一人で歩けるようになりたい、自分の事ぐらいはできるようになりたい、旅行に行ける様になりたい…人によって様々です。
現状の把握
あるべき姿(目標)が定まれば、次に行うのは現状の把握です。そのために各種検査を行います。その検査結果を踏まえてあるべき姿と現状のギャップを明らかにしていきます。
ギャップが分かれば、そのギャップを埋めるための対策(理学療法アプローチ)を選んでいきます。ここで大事なのは解決すべき課題に優先順位をつけておくことです。なんでも間でも治療していけばいいというものではありません。特に急性期病院では時間が限られている事が多いため、優先順位の高い項目に対してアプローチをしていきます。
事実と判断を混同しない
次に大事なのは事実と判断を混同しない事です。下に例を示します。
このように客観的なデータで語れるものは事実として認められますが、右側のような内容では個人の判断であり、本当に事実かどうかはわかりません。判断を裏付ける客観的な根拠が必要になります。膝折れするのは膝伸展筋力が弱くなくても起こりますし、顔色が悪いのは単に寝不足なだけかもしれません。正座ができないのは膝の痛みがそもそもの原因かもしれません。
もう一つ理学療法をする上でのあるあるを提示します。
A君:〇〇さんのリハビリは本人は大丈夫そうだったんですが、看護師がやめといてっていうので休みにしました
B君:看護師はなんでやめといてって言ったの?
A君:わからないですね
B君:・・・。
これじゃお話になりませんね。「リハをやめといて」という看護師の判断の根拠を確認しなければいけません。
できればこのくらいの確認は必要です。
A君:〇〇さんリハしていいですか?
看護師:午前中熱が高かったからやめといた方がいいかもね
A君:何度でした?(事実を確認する)
看護師:38.2度でした
A君:午後から何度です?
看護師:まだ測ってないですね。
A君:じゃあ今から測ってみましょう。下がってれば無理しない程度でリハビリしましょうか(事実の確認をする)
看護師:お願いします
1次情報にあたる
ここで大事なポイントは「1次情報にあたる」ことです。
- 1次情報とは
自分で直接調査した情報:患者の身体機能やバイタルサイン、動作観察、分析など
- 2次情報とは
他者が著作した本や論文、他者からの意見や主張のなど
- 3次情報
まとめサイトなど
一番価値が高いのはもちろん1次情報です。
事実だから戦えるんです。
ボトムアップとトップダウン
1つ1つの検査測定を網羅的に行い、障害像を明らかにしていく手法
ある障害像に着目し、その現象を引き起こしていると思われる内容を検査測定し、障害を引き起こしている要因を明らかにする手法
通常、ある程度経験がたまるとトップダウンで考える事が出来るようになってくる。
ボトムアップの例
トップダウンの例
エレベーターテスト
自分で考えたトップダウンあるいはボトムアップした論理がどちらの方向から考えても矛盾が無いことを確認する方法。
途中でおかしな箇所があると辻褄が合わなくなる。
エレベーターテストの例
医療場面ならではの難しさ
ビジネスにおける問題解決とは違い、医療場面では予後予測が難しいケースがある。それは患者それぞれの置かれている状況や能力、病態によってたどり着けるゴールがまちまちであるため。
また途中で急変したり、肺炎をおこしたり、転倒したり、家族の都合で方向性が急に変わったりする事が多い。
先を予測するのは非常に難しい。
すぐに解決できない問題
・時間的要因の影響
手術の影響
受傷の影響
感染の影響
創部の影響 など
要はすぐには治らない(解決しない)課題もあるため、そのことがより医療現場における課題解決を難渋させている。
患者側の問題
リハビリ意欲の低下
元々のADLが低い
高齢である
重複障害がある
認知症がある
療法士側の問題
経験が浅い
知識、技術が未熟
業務が多忙
指導者が未熟
モチベーションが低い
環境面の問題
使用できる機器が少ない
多職種との連携がうまくいかない
部門のシステム上の問題
おわりに
理学療法場面においての問題解決は容易でない事もありますが、事実を積み上げつつ根拠のある結論、課題解決案を導き出せるようにしていきたいですね。
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